慢性副鼻腔炎とは?
慢性副鼻腔炎と言うと、なじみが無いかもしれませんが、一般には「蓄膿症」として知られている病気です。
文字通り、長く続く(=慢性)副鼻腔の炎症です。そもそも、「副鼻腔」とは何なのでしょうか?
「鼻腔」というのは耳にしたことがあると思います。大雑把に言うと、鼻の穴から覗ける部分が鼻腔です。
「副鼻腔」とは、その「鼻腔」よりも奥に広がる空洞の部分のことです。
下の図のように、鼻の奥にはたくさんの空洞があるのです。生まれたばかりの新生児はこれらの空洞はかなり小さい状態ですが、成長するにしたがって徐々に大きくなっていきます。
どうしてこのような空洞ができるのか、その意義ははっきりしていませんが、衝撃を受けた時の緩衝となり脳を保護するため、とか、吸気の加温・加湿作用のため、などと考えられています。
副鼻腔は薄い骨の壁で仕切られており、その表面は薄い粘膜で覆われています。通常は少量の粘液を産生し細菌を鼻腔側へ洗い流すことにより副鼻腔を正常な状態に保っています。
副鼻腔炎は、風邪や歯根部の炎症などをきっかけに副鼻腔の内壁が感染または炎症を起こし、粘膜が腫れ、余分な粘液が副鼻腔に貯留することにより発生します。
腫れた粘膜が粘液の排出を妨げることにより悪循環が生じることにより慢性化してしまいます。
慢性副鼻腔炎とは、12週間以上、次の症状のうち2つ以上が持続する状態を指します。
◎ 鼻詰まり
◎ 鼻からの粘液の排出
または鼻腔から喉へ粘液が流れる
◎ 顔面の痛み、圧迫感
◎ 嗅覚の低下
鼻汁の性状としては、花粉症の様なだらだら流れてくる鼻汁ではなく、奥で溜まってしまうタイプなので、意外と自覚していない方もいらっしゃいます。
慢性副鼻腔炎のタイプ
副鼻腔炎は大きく分けて4つのタイプがあります。
① 一般的な副鼻腔炎
② 好酸球性副鼻腔炎(鼻ポリープを伴う副鼻腔炎)
③ 歯原性副鼻腔炎
④ 真菌感染を伴う副鼻腔炎
多くは① 一般的な副鼻腔炎ですが、近年、② 好酸球性副鼻腔炎も増えてきました。治療方針も異なりますのでどのタイプか見極めながら治療を進めていく必要があります。
副鼻腔炎の増悪因子
アレルギー性鼻炎:アレルギー性鼻炎があると鼻腔や副鼻腔の粘膜が腫脹しやすく副鼻腔炎になりやすい状態となります。
タバコの煙または空気中の刺激物:タバコの煙またはホルムアルデヒドなどの特定の環境毒素は、慢性副鼻腔炎のリスクを高める可能性があります。
免疫障害:慢性副鼻腔炎のほとんどの人は正常な免疫系を持っています。ただし、免疫が低下する病気や免疫力を抑える薬を使用されている人は、慢性副鼻腔炎のリスクが高くなります。
ウイルス感染症:ウイルス感染症(一般的な風邪など)をきっかけに慢性副鼻腔炎を発症するケースが多くリスクとなります。
鼻中隔弯曲症や下鼻甲介の腫脹:鼻汁の流れや気流の流れが悪くなる物理的な狭窄は副鼻腔炎のリスクを高めます。
次へ
副鼻腔炎の診断