口腔内常在菌と扁桃の病気・口腔内の病気
口腔内フローラと陰窩膿栓・扁桃炎・歯周病菌の関係
腸内フローラと同様に、口腔内にも多数の常在菌がバランスを保って存在しており口腔内フローラと呼んでいます。口腔内フローラは500~1000種類の菌で構成されており、「善玉菌」と「悪玉菌」、そして「日和見菌」と呼ばれる菌がいます。比率としては、善玉菌:日和見菌:悪玉菌=2:7:1くらいの割合が良いとされていますが、悪玉菌の割合が増えてきたり菌の種類が減ってくると、扁桃の陰窩(みぞ)で膿栓(のうせん)ができやすくなったり、扁桃炎が起こりやすくなります。悪玉菌には、揮発性硫黄化合物(VSC)を産生する菌が多く口臭の原因となります。また、歯周病や虫歯の原因にもなりますが、歯周病を放置すると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がることがわかってきました。
毎日の口腔ケアで「菌の多様性とバランス」を整えることが、これらの疾患予防に役立ちます。
まずはここから:毎日のセルフケア
- うがい(1日2~4回)
最初は水やぬるま湯で十分。食後・就寝前は特に有効です。上を向いて15秒×2セット行い、のどの奥まで届くように。殺菌性の強い洗口剤は連用しすぎないようにしましょう(乾燥や菌の多様性低下の原因になります)。
- 歯磨き(朝・就寝前+食後)
やわらかめ~ふつうの歯ブラシで2分以上。舌や頬側、奥歯のくぼみも丁寧に磨きましょう。
- 歯間クリーニング(1日1回)
デンタルフロスまたは歯間ブラシで歯と歯の間のプラークを除去。出血は歯肉炎のサイン。数日で改善しなければ歯科受診を。
- 口腔内タブレット(プロバイオティクス等)
善玉菌を補い、口腔内フローラを改善するサプリメント。
主な善玉菌: L.ロイテリ菌、S.サリバリウス菌、L.サリバリウス菌、L8080乳酸菌など
主な悪玉菌: S.ミュータンス菌、P.ジンジバリス菌、T.フォーサイシア菌、T.デンチコーラ菌、フソバクテリウムなど
口腔内タブレットは口腔フローラ改善効果が報告されています。
就寝前にゆっくり溶かすと善玉菌が定着しやすくなります。
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生活習慣でできる対策
- こまめな水分補給と室内の加湿(相対湿度40–60%目安)。
- 鼻呼吸を意識(口呼吸は乾燥と菌の偏りを招きます)。
- 十分な睡眠・栄養、禁煙、アルコールの取り過ぎに注意。
口腔内フローラの検査
膿栓が気になるときのコツ
- 無理に指や固い綿棒でこすらない(出血・炎症・逆効果)。
- ぬるま湯の静かなうがいを数回繰り返す。
- 口臭が強い・塊が頻回に出る・痛みや発熱を伴う場合は受診を。
受診の目安
- 38℃以上の発熱、強い咽頭痛、嚥下困難、耳へ響く痛みがある
- 口が開けにくい/よだれが増える/片側のみ腫れて痛む
- 膿栓が非常に多い・口臭が急に強くなった・再発を繰り返す
- 慢性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍が疑われる場合は、抗菌薬や外科的治療を検討することがあります。
よくある質問
膿栓は取ったほうが良いですか?
無理に取り除く必要はありません。刺激で炎症が悪化することがあります。自然に出てくる・うがいで除去できる範囲に留め、症状が強い場合は受診してください。
強い殺菌系のうがい薬は毎日使って大丈夫?
短期間の補助としては有用ですが、連用で口腔乾燥や味覚刺激を生じ、菌バランスが乱れることがあります。基本は水・ぬるま湯+機械的清掃です。
口腔内タブレット(プロバイオティクス)は効果がありますか?
菌のバランス維持をサポートする目的で用いられます。即効の「治療薬」ではないため、歯磨き・歯間清掃・うがいと併用してください。体質や製品により合う・合わないがあります。
